ちょっとした財産を持っている家庭であれば、その財産の所有者が亡くなった時に必ず「遺産相続」をしなければならなくなる。この遺産相続というのは、一見すると単純な作業なのだが、現実を見てみればわかるように泥沼の争いを起こしている家庭が非常に多いのである。そしてこの揉めやすい遺産相続で、特にもめるのが自宅にある「金庫」の中身についてなのだ。
普通、遺産相続というのは土地や銀行に預けている預金、株券などの公に認知されている財産の相続を行う場合に法的効力を持つものとされている。これは遺産相続の相続協議を行わければ、先ほど述べたような公に認知されている相続を行うことができないからだ。しかし、よく人が亡くなった時に「銀行の口座が凍結される前に預金を下ろしておけ」などということが言われるように、タンス預金など公に認知されていない財産については相続協議を行わなくても自由にすることができるのである。(厳密にはこれは違法だが。)
さて、このような公に認知されていない財産、これが眠っているのが何を隠そう「金庫」なのである。家庭によっては預金通帳を金庫の中に入れているケースもあるかもしれないので、一概に金庫の中身が公に認知されていない財産だと言い切れるわけではない。しかし、たとえ金庫の中身が預金通帳でも、その金額によってもめるのは当然なので、やはり金庫の中身は遺産相続でトラブルに発展するものが詰まっていると言ってもいい。
ただ、この金庫、普通に開ける術を知っていれば話は別なのだが、よく「金庫の所有者であった人しか金庫の開け方を知らない」というケースもかなり多くある。このような場合、金庫の中身についての協議をする前に金庫そのものをどうやって開けるかということについても早急な対策を取らなければならない。相続放棄の時効は3ヶ月なので、もし金庫の中身が負債ばかりであったとしても同様に揉めることが考えられるだろう。